白小フェニックス

 白小フェニックス。全国大会出場3回、若葉台ドリームスと並ぶ東京を、全国を代表するチームだ。
 
 私はこの白小フェニックスのコーチをしていた。

 昔、私はタグの指導が上手いと、勘違いしていた事があった。
 タグの指導をすることで学校に大きな貢献をしている、そう勘違いしていた事があった。

 本当は一生懸命努力を積み重ねた選手、保護者、そしてそれを優しく支えてくれた教職員、そしてわがままな私を助けてくれた後輩コーチ陣のおかげだったのに。勿論、頭では理解していた。しかし、心の奥には天狗になっている自分が確かにいた。

 まだ若かった。自分でチームを立ち上げ、力強く前に進めるためには色々な出来事の矢面に立ち、戦わなければいけなかった。白小フェニックスを、タグラグビーを守るために突っ張らなければいけなかった。そうしなければ短期間で白小フェニックスを、府中のタグラグビーを前進させることはできないと思って必死だった。しかし、その戦いの過程の中で、私は謙虚さや誠実さ、協調性といったものを忘れかけたのかもしれない。本来、物事を前に進めるは戦いではなく、他者理解、協調、譲歩、思いやりといったことが必要なのに、それが分からなかった。

 私の異動後、引き継いだ後輩達は、皆で相談し考え、協力してフェニックスを前進させてくれた。サインプレー中心だった方針から自分たちで考えるスタイルへ、コーチからの教え込みではなく、自分たちでやるスタイルへ。大きく舵を切ってくれた。本当に感謝している。今、白小フェニックスが輝いているのはフェニックスコーチ陣の努力の結晶である。

 サインプレーにこだわらず、自分たちで考えプレーする。この白小フェニックスのプレースタイルは、多くのタグチームの手本となった。今の七国スピリッツ戦略の根幹は白小を参考にしたものだ。

 異動初年度、私はニューフェニックスの強さ、素晴らしさを肌身をもって体感した。今までの常識が通用しない。ここで止めれば大丈夫だと思っても、次にフォロープレーヤーが飛び込んでくる。かと思えば、強烈なステップでデフェンスラインが切り崩される。どれだけサインを考えても次から次へと沸いてくるカバーデフェンスにことごとく止められる。
 「タグの指導が上手い」天狗の鼻は根元からぼっきり折られた。全て白糸が上だった。私には到底、指導できるものではなかった。
 この年、フェニックスは全国優勝を成し遂げた汐入リトルベアーズと互角の戦いを演じた。

 そして今年度、私は白小との特別なシーズンを迎えた。

 昔、このブログは、「フェニックスノート」といって白小フェニックスのブログだった。
 そのフェニックスノートとしての最終記事(バックナンバー「新しい船出」)で、「五代目フェニックス。まだ負けを知らないこの世代はどんな活躍を見せるのか。六代目フェニックス。4年生ながら東京の強豪と互角に渡り合う彼等はどのように成長するのか。私の大切な教え子である、まだ見ぬ七代目の活躍は。」と、書いた。

 今シーズンは、その大切な教え子が最高学年七代目白小フェニックスとして戦うシーズンだった。
 担任した3年生の時の面影もありながら、高学年として凜々しく成長した彼らの戦いぶりは見事だった。
 プレーもさることながら、スポーツマンとしての心構えがしっかりと身についていたことが素晴らしかった。挨拶、礼儀など全国どこへ出しても恥ずかしくない姿は本当に感動した。

 試合中の声だってどこよりも出ていた。白糸と試合をする時は相手の勢いに飲まれないように、いつも細心の注意を払っていた。

 サントリーカップ武蔵野大会以降、白糸と練習試合をすることはなかった。それが余計に私には怖かった。どれだけ強くなっているのだ。どんなプレーを身に付けているか?見えないだけに本当に怖かった。

 東京ブロック決定大会では惜しくも南白レジェンドに敗れたが、その戦いぶりは多くの人を感動させるものだった。

 しかし、白小フェニックスの本当の素晴らしさを七国が知るのは後日行われた白糸との練習試合である。この試合にかけるフェニックスの思いは我々に強く届いた。一つ一つのプレー、声、全てに魂がこもっていた。練習試合で泣けるチームはそうはいない。それだけ真摯に全力でタグに打ち込んだ三年間だったのだ。




 最後に、今シーズン、フェニックスを指揮したY監督には私は色々な思いがある。
 何度、彼の事で当時の校長に呼ばれ、怒られたか分からない。
 校舎裏で、当時の主幹と、「Kちゃん、俺たち悪くないよな」と、何度語り合ったか分からない。

 しかし彼は教師に最も大切な「熱」をもっていた。私はその「熱」がたまらなく好きだった。
 異動する最後の日。相変わらず散らかっている誰もいない彼の教室にいくと黒板にお楽しみ会で使用したと思われる模造紙が無造作に貼ってあった。
 ちょっと失敬して彼に最後のメッセージを書いて、また模造紙を無造作に貼っておいた。気づくか気づかないか分からなかったが、まぁ、よしとして私は白小を後にした。

 この事についてその後、彼と一度も話すことはなかったが、この最後の練習試合後、涙ながら交わした握手で彼が一生懸命、私の言葉を大切に必死で頑張ってくれていたことが伝わってきた。

     〜後は任せた!〜
          by K田




 次は私の番。頑張るよ、後輩。


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後輩は

ちゃんと黒板のメッセージを写真で撮ってありますよ。
東京代表として、東京すべての力を全国に連れていってくれると信じています。
レフリーという立場ですが、そばで見守っているので、スピリッツ魂全開でファイトですhttp://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0160.gif">
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